シェル・オーストラリア(Shell Australia)は、保有しているプレリュードFLNG (Prelude Floating Liquefied Natural Gas)施設が7月下旬に西オーストラリア海域へ到着したことを確認した。プレリュードは、シェル初開発のFLNG技術で、世界中の顧客へ輸出される前に海上に浮く長さ488mの施設で、ガスの抽出と液化を行う。プロジェクトは西豪州ブルーム(Broome)の北東約475kmに位置する。
シェル・オーストラリア会長Zoe Yujnovich氏は、プレリュードFLNG施設の到着は、州海域で開発された初の浮体式液化施設を伴う、オーストラリアLNG輸出産業の新しい時代を示唆していると述べた。またプレリュードの到着はシェルがオーストラリアにおいて、大きな経済的利益をもたらしてきた長年にわたる投資や開発の明らかな証拠である。
またYujnovich氏によると、シェルはプレリュードの主要な契約を、メンテナンスや改修サービスを2億ドルで豪エンジニア企業Monadelphousと結んだように、オーストラリア国内企業と締結してきた。
「プレリュードはオーストラリアのプロジェクトであり、シェルは国内企業と強固な関係を結ぶことの重要性を理解してきた。施設の安全性、高いパフォーマンス性を開発、維持していくためにシェルは、西オーストラリア州サウス・メトロポリタンTAFEとパートナーシップを結び、プレリュードプロジェクト技術者のための特別な研修を開発してきた。約150名の技術者が、ヘリコプター離着陸技術や給油技術、索具や足場を組む技術、応急処置など重要な技術の研修を受けてきた。
「西豪州に拠点を置く建設技術企業CIVMECは、ヘンダーソン(Henderson)の施設からプレリュードの海中自噴線用の4つの巨大アンカー杭を建設した。プロジェクトは、操業中は施設内で約260名を地元で雇用し、組み立ておよび試運転期間には1,500名超の雇用を創出する予定。
プレリュード施設は、長さ488m、幅74m、重量26万トンの鋼鉄で建設されており、これはシドニー・ハーバーブリッジに使用されているものの5倍の大きさである。年間生産量はLNG 360万トン、コンデンセート(ガス中に存在する炭化水素液)130万トン。シェルは、ガス貯留層間を移動できる浮体施設を選択したことで、そうでなければ困難かつコストがかかりすぎて開発できなかったが、経済的に貯留層へアクセスできるようにした。
プレリュードはシェルとジョイントベンチャー・パートナーのINPEX (17.5%)、 KOGAS (10%)、OPIC (5%)により操業される予定で、2018年初旬の生産開始を見込んでいる。