WA州財務相(State Treasurer)
クリスチャン・ポーター(Christian Porter)
日本の産業界は、オーストラリアでの最近の人件費高騰や西オーストラリア(WA)州の資源開発プロジェクト計画遂行に必要な主要インフラ不足について懸念を持っている。9月30日に東京を訪れていたクリスチャン・ポーター(Christian Porter)州財務長官は、日本の大手商社から採掘税と炭素税についても指摘があったと語った。
ポーター財務長官は、WA州ミッド・ウエスト地域のオーカジー(Oakajee)深海港建設プロジェクトの行き詰まりについて、プロジェクトの共同開発者である三菱商事との話し合いに臨み、この問題はベンチャーにはつきものの問題だと感じた。また三菱側はプロジェクトへの積極関与を確認し、この鉄鉱石積出の港湾建設計画を継続させるために、中国資本を呼びこむことにも賛成の意を表明した。
連邦と州が59億ドルを投じたこの港湾・鉄道建設プロジェクトは、現在コスト超過に陥り、共同開発を行うマーチンソン・メタルズ社(Murchison Metals)や三菱デベロップメント社も、当初の計画通りでは続行不可能としている。このプロジェクトはミッド・ウエスト地域の鉄鉱石採掘開発の鍵を握るとされ、コリン・バーネット(Colin Barnett)州首相も両社に12月末までの建設許可を与えている。
またポーター財務長官は、三菱商事とともに双日株式会社や三井商事が、専門の人材不足のために資源開発事業のコスト超過が生じることに大きな懸念を寄せているとし、「彼らは港湾建設段階での事業コストが熟練技術者の人件費高騰により跳ね上がっていることを明らかにしている」と述べた。
WA州は、ここ当分の間、専門技術者不足に直面することになり、そのため技術者の移住政策を早急に拡大するよう連邦政府に要請した。連邦はこのところビジネスベースの移住政策を進めており、大規模プロジェクト開発企業が海外から人材を直接確保することを認めている。ポーター財務長官は、「この政策は歓迎するが、その場しのぎでもある」とし、さらにWA州のインフラ整備予算はすでに底をついているため、連邦政府に資金面での追加支援を求め、更なるインフラ投資が不可欠だと述べた。
また「オーストラリアでの基幹インフラを含めインフラ全般の立ち遅れが、日本企業の懸念材料であり続けている」と言う。例えばアルバニー東部のグレンジ・リソーシズ-双日サウスダウン鉄鉱石鉱床での送電線区域建設の頓挫は、この問題の一端を示すものだといえる。
「これは一例に過ぎないが、問題はさらに広範囲に及んでいる。日本企業は州政府の支出が限界にあることを十分理解しているが、WA州が経済成長している、この時期にこそインフラ整備にもっと力を入れるべきだとも考えている。この点についての支援が不可欠であることは間違いない」
日本企業の採掘税、炭素税に関するコメントは、「とても穏健なものだった」とポーター財務長官は語った。