西オーストラリア州政府

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2015.06.04

妊婦と胎児を守る新発見

 西豪州ハリー・パーキンス医療研究センターの科学者らが排卵誘発剤を使用することにより、多くの妊婦と胎児の生命を脅かす症状の画期的な治療法を発見した。センターによると、子癇前症やそれに伴う早過ぎる出産を引き起こす可能性がある妊婦の高血圧に対し、より安全な治療を提供できるようになる。

子癇前症は、妊婦の約10%が発症するとされており、主として血圧の上昇やたんぱく尿、深刻な体液鬱滞を引き起こす。また、50件に1件程度の割合で妊婦および胎児の生命に関わる重篤な状態に陥ることもある。血圧を下げるために通常使用される薬は胎児にとって有毒となる可能性があり、妊娠中に投与するのは危険すぎる場合が多い。そのため、医者は健康問題が高リスク化する出産を早める処置もしくは、緊急帝王切開を行うかしか方法がない。

ハリー・パーキンス医療研究センター、血管生物学およびがん間質ターゲティング研究室長のルース・ガンス教授によると、女性の不妊治療や糖尿病の治療に使用されていた薬が、高血圧の妊婦において血管を弛緩させる方法として有望である。この研究結果は、血管の拡張および収縮に作用する調節遺伝子RGS5の発見に続くものであった。

「妊婦の血圧が通常より上昇することは自然だが、血管は胎児の状態に合わせて弛緩、拡張する必要がある。しかし、妊婦の血管が収縮したまま高血圧になると、母体と胎盤は胎児に十分な栄養素を届けることができなくなる。薬はこれから臨床試験を受けなければならないが、研究によると一部の女性は妊娠において子癇前症の高リスクと関係性のある何らかの異常を持っていることが明らかになった。」とガンス教授は述べた。

 出典:The West Australian