西オーストラリア州政府

ニュース


2015.06.17

対日貿易黒字トップの中国へ迫る

3年前の物価高騰の際、オーストラリア企業は中国への原料供給を競い合い、数十年来の日本、韓国との関係をしのぐ中国との貿易関係を構築した。今日の物価急落は全てを変え、豪州政府は今年最初の四カ月の傾向を基に推定し、今年の対日貿易黒字を245億ドル、対して対中貿易黒字を194億ドルとの予測を発表した。

対日貿易収支向上は一部、国内自動車産業の閉鎖により豪州企業の車部品の輸入縮小によるが、貿易収支に作用する主な要因は、金額ベースで豪州最大輸出品目である鉄鉱石である。物価の下落により、中国の急速な拡大以前に数十年におよび極めて重要であった対日貿易の重要性が増し、その重要性が過小評価されてきたのではないかという疑問があがってきた。

確かに日本も石炭、鉄鉱石、牛肉などを筆頭に豪州産品の主要買主であり、中国より広範囲にわたる豪州製品を輸入している。1980年代から日本は液化天然ガス(LNG)の主要な輸入者であり続け、現在もまた新規生産量の増加に伴いLNG輸出は急速に増加すると期待されている。しかしまだ日本の貿易収支トップへの返り咲きが一時的な急上昇によるものなのか、傾向としてなのかは、はっきりとはしていない。一方、日本の豪州LNGに対する需要は今後5年間で総輸入量の40%上昇すると予測されており、対中貿易もまた現在の年間50億トンから2020年までに年間180億トンへ大幅に成長すると期待されている。

貿易収支のみが貿易関係の重要性を計るものではない。2015年には対日輸出額の2倍となる800億ドル近くになると期待されている中国は今年も豪州最大の貿易相手国として留まりそうだ。最近それぞれ日本、中国と締結された自由貿易協定(FTA)がいかに迅速に実行されるかということもまた貿易関係の重要性に影響を与えそうだ。オーストラリアは2014年に日本、中国、韓国という3大貿易相手国と貿易協定を締結している。

日豪FTA締結に後押しされ、地ビールメーカーThe Australian Brewery醸造所CEOのMarcello Colosimo氏は昨年、日本進出の足がかりを作り、スーパーマーケットと提携し、ザ・ピルスナー(The Pilsner)、ザ・ペール・エール(The Pale Ale)の販売を始めた。「消費量は順調に伸びており良い兆候を示している。FTAは国外でのビジネス拡大に詳しくない企業にとりとても有効だ。」とColosimo氏は述べた。

 出典: Wall Street Journal