オード川農地拡張と経済発展
オード潅漑拡張計画は、イーストキンバリー一括開発(East Kimberley Development Package)のために国家協力協定(National Partnership Agreement)が締結され2009年に開始されました。このプロジェクトは州と国家の大規模共同事業であり、農業やエコ&カルチャーツーリズムを基盤としたイーストキンバリー地域の経済発展を実現します。このプロジェクトは灌漑農業のために8,000haの土地開発を行うことにより、オード潅漑地域を22,000haに拡張することをめざしています。キンバリー地域の農業生産拡大、持続可能な経済成長や地域インフラ整備のために重要なチャンスとなることでしょう。
州政府は、潅漑インフラ、道路、電気、通信を含む農地以外の農業インフラ開発に重点を置いています。また国が多額の投資をした学校、住宅、病院、幼児施設等の地域社会インフラ整備や、カナナラ(Kununurra)空港の収容能力拡大、ウィンダム(Wyndham)港への投資等の国家構想計画の調整も行います。
新しい農地の最初の払い下げは、2011-12年を予定しています。このプロジェクトは、職業訓練、雇用、ビジネス開発、コミュニティ施設の改良等を通じて、イーストキンバリー先住民の生活改善の機会創出を行います。地域基盤インフラや社会的インフラの整備事業は2011-2013年に完成の予定です。地域インフラ整備のために、国家協力協定により州分担金として2億2000万ドルに加え、連邦政府資金1億9500万ドルが投入されます。
プロジェクトの背景と歴史
1877~1880年の西オーストラリア州知事ハリー・オード(Harry Ord)の名を冠したオード川は、州北部キンバリー地域を流れる全長320kmの川です。1960~70年代のオード川潅漑地域の最初の開発では、大規模な上下水道のインフラ建設を行いました。その工事はオード川のカナナラ分水ダム(Kununurra Diversion Dam)建造から始まり1963年に完成しました。このダムによって集められた水は、1966年までに分割された31農場の現在13,000haの農地のために使われました。それはカナナラのニュータウン開発をも支えることになりました。
カナナラ分水ダムの後には、オード川上流50kmのアーガイル湖(Lake Argyle)と呼ばれる大規模貯水池の建造が続きました。このダムは1972年に完成し、現在アーガイル湖の湖面は900㎢の広さです。モンスーン期間には最高2500 gl(ギガリットル)の水が毎日海へ流出していましたが、現在ではダムが集水域のモンスーン雨水を管理しています。1997年には、年間210gWhの発電を行う民間水力発電施設への給水、またアーガイル・ダイヤモンド鉱山(Argyle Diamond Mine)や4万戸の家庭への電力供給のために湖の水位を6m上げました。
綿栽培の苦難の後、現在の潅漑農地は、マンゴー、柑橘類、バナナ、スイカ、カボチャ、ヒヨコマメ、チーア、砂糖、世界最大のビャクダン育成林を含む様々な農業生産用途に使われています。